シンポジウム「自閉症をめぐって」

第 23 回日本ラカン協会大会「自閉症をめぐって」

日時:2023年11月26日(日) 14:00-18:00
場所 : 京都大学大学院人間・環境学研究科棟 3F 333 教室

(ZOOM を利用したハイブリッド形式。ZOOMでの参加はこちらを御覧ください。)
共催 : 第 15回京都大学国際メンタルヘルスセミナー

司会:松本卓也 (京都大学) *当日は、一部発表原稿の日本語訳を配布するとともに、逐次通訳が入る予定です。

2013 年にアメリカ精神医学会(APA)の診断マニュアルの第 5 版である DSM-5 が出版されて 以来、「自閉スペクトラム症(ASD)」という用語が広く知られるようになった。2020 年には、フラ ンスにおける小児期と思春期の精神疾患分類が改訂(CFTMEA-R-2020)され、そこには 2022 年 1 月に世界保健機関が発表した国際疾病分類の第 11 版(ICD-11)と同様に、自閉ス ペクトラム症(ASD)が含まれている。こうして、自閉症スペクトラムが「自閉症スペクトラム」であ ることには、医学的観点からは議論の余地がないものとなった。

しかし、当事者たちや精神分析家はまったく異なるアプローチをとる。精神分析の観点から見 た自閉症とはいったいどのようなものであろうか? 自閉症と自閉スペクトラム症はどのように異 なるのだろうか? 自閉症がひとつの構造であることを支持する議論にはどんなものがあるだろ うか? 自閉症という構造があるとすれば、それでもなおスペクトラムについて語ることができる のだろうか? もしそれが可能だとすれば、それはいかなる条件の下で可能なのだろうか?

日本ラカン協会は、自閉症というあり方や、精神分析による治療可能性をより深く理解するため に、2023 年にアラン・ヴァニエ氏を招聘する。ヴァニエ氏は、精神科医、精神分析医であり、パ リ第 7 大学教授や Espace Analytique の会長を務めたことがある。モード・マノーニやロベー ル・ルフォールが勤務していたボヌーイ実験校は、自閉症の子どもたちと共に数十年にわたっ て集団的かつ特異的な経験の場となった。ヴァニエ氏はその証人となった。今回の彼の講演 は「自閉症児の治療に基づくいくつかの仮説」と題するものである。また、ヴァニエ氏のカンファレンスに先立って、池田真典氏による自閉症のケアにおける複数的な転移について、タジャン 氏による「自閉症の差異」についての議論が行われる。

「Les transferts multiples dans les soins de l’autisme」 池田真典 (別府大学)

「Apports et limites de “la Différence autistique”」 ニコラ・タジャン (京都大学)

「Quelques hypothèses à partir de traitements d’enfants autistes」 アラン・ヴァニエ (精神科医、精神分析医)